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2022年2月19日 (土)

「暁の宇品~陸軍船舶司令官たちのヒロシマ」堀川惠子

Img_20220218_0002 ノンフィクションはやっぱり凄い!
日清戦争から、どんどん増強されていった中国から南方の島々への侵略。
それを押し進めた大日本帝国軍。
その中にあって、陸軍でありながら海上で船舶を構え、兵士や食糧、爆薬などを戦地へ送ることを使命とさせられた司令官たち。
海の戦争を支えた広島の宇品港の3人の司令官たちの生涯を描いた作品。

戦争で命を落としたのは、軍人ばかりではなかった。
兵士と言う身分さえ与えられずに海運に従事する船乗りたちもたくさん命を落としたのだ。
人を狂わす闘いの中で、人間らしい温かい心を失うことなく、
物流と海上運送で幾万もの命を救おうとした3人の司令官の生き様。
堀川惠子さんが100を超える膨大な資料を読み解いて書きあげたノンフィクション小説。
わずか77年前の原爆投下のあの日まで、日本が歩んだ戦争の隠された真実に心が震えた。

ガナルカナル島。
日本が闘いの拠点にしようとした太平洋上の小さな島。
その面積は千葉県ほどだそう。
食糧もないままに送り込まれた2万人近くのほとんど兵士が戦うこともなく餓死に追い込まれた。
ちっぽけな島国日本で充分な戦艦さえもないままに闘いを強いられた人たち。

もう8年も前の映画になるけど、「硫黄島からの手紙」「父親からの星条旗」の連作で、私が衝撃を受けたことは、
国のためにと命を投げ出す壮絶な大和魂の在り様。
そして、何より日本人が死に物狂いで戦いに没頭しているというのに、
アメリカという国では「戦争」は戦地に向った兵士たちだけの話で、本土では普通の平和な暮らしが営まれていたということだった。
武器や食糧を運ぶ船も飛行機も充分過ぎるほどにある大国アメリカと、大和魂だけを心に刻み、まるで素手で戦おうとしていた日本。
ちゃんとした飛行機も戦艦も作れずに、片道だけの燃料で爆弾と共に命を投げ出した特攻隊は、
飛行隊だけでなく小さな小舟でも計画されていたようだ。
ベニヤで作られた飛行機や舟で自分が爆弾になって巨大な敵艦に突撃するなんて!
なんだかもうマンガのような話だ。

巨大な象に立ち向かっていくアリのような日本。
大切な命を無意味にむしり取られた何十万人もの人たち。
この過ちはあまりにも残酷で悲しすぎる。

物語でも何でもなく本当にあったこの国でのお話。
勇気のある人はぜひ読んでみてください。

Img_20220219_0002 この本を貸してくださったのは、山本好隆先生は、
4年前に「憲法9条を守るために~今一度、戦争の事実をみつめてください」という本を出版されました。
先生の幼い頃の戦争体験が、この本に繋がっているのです。

http://mahounotsue.cocolog-nifty.com/blog/2018/05/9-f2da.html#_ga=2.95399070.308240565.1644827622-1703414158.1621128223

怖くて怖くて戦争のことは、できるだけ遠ざけていたい私。
でも、この本を読んでいる内に思い出して、ちょっぴり愉快な気持ちになった事がありました。
それは水木しげるさんのことです。
戦争のさ中に青春時代を迎え、19歳の時に「ガナルカタルの敗戦」を伝えられながらも、その後に受け取った召集令状でラバウルへ送られた水木さん。
常に”生か死か?”を迫られる日々の中で、爆撃で片腕をもぎ取られ、マラリアで生きるか死ぬかの境をさまよった中でも、現地の土人と親しくなり、毎日、軍を抜け出しては畠を手伝ったり食事を食べさせてもらい、いつのまにか丸々太って、敗戦後はそのままラバウルに住もうとさえ考えていたそうです。
著書「妖怪天国」の中で戦争体験すらも面白おかしく書かれています。
水木しげるさんの生き様は正に妖怪人生ですね。
Img_20220219_0001

 

 

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