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2022年10月13日 (木)

「今日でなくてもいい」佐野洋子

Img_20221013_0001 本の感想ばっかり書いていますね。
しかも亡くなった人の最後の本とか、高齢になっての覚悟を綴ったような内容の本ばかり。
老いることが目の前に迫ってきて、
それを恐れている自分がよくわかる💦
初めての子育ての時、育児のための本を片っ端から読み漁っていた時を思い出します。

「百万回生きたねこ」の作者・佐野洋子さん。
2010年に72歳で癌で亡くなられています。
その佐野さんの生い立ちから亡くなるまでの心の軌跡がわかるエッセイです。
いろんなところに書かれたものを編集してまとめた一冊です。

エッセイって、自分のことをどこまでさらけ出せるか?ということが勝負どころなのでしょうか?
ごくごく個人的なことまでも本にしてまで世間に晒す。
その意味は何なのでしょう?
作家という人には、もう個も公もないのかもしれません。
どこまでもどこまでも心に浮かんだことを書かずにはいられない。
それが作家のサガなのでしょう。

佐野さんの天邪鬼ぶり、変コツぶりが最高な一冊です✨
幼い頃に兄弟を次々に亡くし、父親も早くに亡くし、残った母親とは折り合いが悪く、かなりハードな人生を歩んでおられます。

ペーソスに満ちた絵本の数々もエッセイも、佐野さんの歩んできた人生模様が色濃く映し出されているように思えます。
母親との葛藤を書いたところが一番心に響きました。
あ~、私とよく似ているなあと・・・。
呆けた母親を施設に捨ててしまった、と書いています。
でも、幼い頃からの葛藤が強すぎて、母に触れることができなかったし、母の匂いがとても嫌だったとも書いています。
触れることに嫌悪してしまう人とは一緒には暮らせない。
その感じがとてもよく分かるのです。

人は結局は幼い頃に体験したことが、人生の全てに影響を及ぼしてしまうのだろうなあと思えます。
職場でお行儀のよくない若い人を見ては「育ちが悪いんだろうねえ」などとしたり顔で言うおつぼねさんがいました。
そういうあなたはきっと”育ちがいい”んですねえ。幸せでよかったですねえ。といつも内心つぶやいていた。
”育ち”は、本人には関係のない、どうしようもできないことなんですよ。
”育ち”ばかりはその人本人には責任がない。

幼い頃に抱きしめて育ててもられなかった人は、
人生の中でずっと孤独を抱え続けることになるのでしょう。

癌で余命を限られてからの文章からはもう欲しいものも怖いものも何もないというスタンスがありありと感じられます。
巻末の「どんどんわからなくなる」は、子ども時代を生き抜く子どもたちへのメッセージ。
しかかたで、賢くて、ずるくて、優しい子どもの感性。
どんな状況にあって苦しくても辛くても子ども時代を正々堂々と生き抜け❗というエールを贈っている。
これは正に若い頃から佐野さんが描いてきた絵本に通じている。
怖いものなしの毒舌で周りをハラハラさせながらも、その心の奥に優しくて弱い感受性を抱えながら生き抜いた佐野洋子さんです。

 

 

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